その土地だけで済む?融資前に確認したい「担保の範囲」

融資前に担保の範囲を確認するための、土地・建物・資料のイラスト

親の土地の建て替えを進める中で、建築予定地に根抵当権が残っているという連絡を受け、確認を進めたことがあります。

当時のやり取りには、金融機関への確認を家族に頼み、その後、担当者と連絡を取って、抹消の話が進んだことを家族へ伝えた記録が残っています。

一方、今回読み直した登記資料には、土地と当時の建物が共同担保になっていた記録と、その後の抹消記録がありました。ここで扱うのは、その資料に記載された時点の情報です。

では、新しい融資では、どの不動産が担保になるのか。

過去の登記が抹消されていることと、新しい融資の担保範囲が決まっていることは別です。今回は、当時のやり取りと資料の読み直しを入口に、融資前に確かめたい「担保の範囲」を整理します。

目次

登記資料では「乙区」と共同担保目録を読む

登記記録の権利部は、所有権に関する「甲区」と、それ以外の権利に関する「乙区」に分かれています。抵当権や根抵当権を見るときは、乙区を確認します。
e-Gov法令検索「不動産登記規則」第4条第4項

建築予定地の登記資料にも、乙区に過去の抵当権・根抵当権の記録がありました。共同担保目録には、その土地と当時の建物が記載されています。一つの担保関係に複数の不動産が含まれていたことを、資料から確認できます。

読むときは、資料がいつの情報なのか、設定の記録だけでなく抹消の記録もあるかを合わせて見ます。過去の記載が載っているからといって、その権利が今も残っているとは限りません。反対に、古い資料だけで現在の状態を判断することもできません。

この資料には、根抵当権と、それに関係する賃借権の仮登記が抹消された記録がありました。ただし、その記録だけで、借入をいつ完済したのかや、現在の借入残高まで分かるわけではありません。

過去の抹消記録だけでは、新しい担保の範囲は分からない

私の計画に関するつなぎ融資の資金実行予定表には、「仮登記設定」「仮登記抹消」の費用が、概算として記載されていました。注記には抵当権の仮登記についての説明もあります。これは、先ほどの過去の登記にあった賃借権の仮登記とは別のものです。

その予定表には、一定の仮定に基づく参考資料であり、融資内容を約束するものではないという説明もあります。費用が載っていることだけで、実際に設定されたことや、最終的な担保対象・順位・解除条件まで確定したとは言えません。

「担保を設定する予定がある」と「どの不動産に、どの順位で、どんな条件の担保を設定するかが確定した」は別です。

ここは、正式な融資契約や担保設定関係の書類に戻って確認する必要があります。

融資対象の土地・建物以外も担保になることはある

住宅金融支援機構の「子育て世帯向け省エネ賃貸住宅建設融資」の掲載条件では、融資対象の建物と土地に第1順位の抵当権を設定することになっています。建物・土地の評価や収支計画などの審査結果によっては、対象外の不動産にも担保提供を求める場合があると説明されています。
住宅金融支援機構「子育て世帯向け省エネ賃貸住宅建設融資・ご利用条件」

これは、この商品の条件例です。すべてのアパートローンや、私の個別契約にそのまま当てはまるという意味ではありません。なお、確認時点では新規申込受付停止の案内があり、現在申し込める商品として紹介しているものでもありません。
住宅金融支援機構「受付停止のお知らせ」

この例からも、私なら担保の対象を地番や家屋番号まで含めて書面で確認します。建てる土地・建物のどこまでなのか、それ以外にも対象があるのか。家族の土地について借入を考えるときは、ここを曖昧なままにしたくありません。

担保について、私は5つに分けて確認したい

以下は、今回の資料の読み直しから整理した確認表です。私が当時この表を使っていたという意味ではありません。契約前に確認するなら、金融機関や司法書士などに、正式書類の該当箇所を示してもらいながら使います。

スクロールできます
確認すること資料で見るところ担当者へ聞くこと確認後に残すこと
担保の対象登記事項証明書、融資契約、担保設定書類今回の融資で担保に入る土地・建物を、地番・家屋番号で示してもらえますか。対象不動産を一つずつ記録
担保の順位乙区、担保設定案、融資条件第何順位で設定する条件ですか。既存の権利で先に処理が必要なものはありますか。順位と前提条件
共同担保・追加担保共同担保目録、融資の条件書建築する土地・建物以外に担保提供が必要になる可能性はありますか。必要になる条件は何ですか。追加対象と判断時期
設定の時期融資実行案内、工程表、登記予定いつ設定し、融資実行との前後関係はどうなりますか。設定日・実行日・担当者
解除・抹消契約書、完済時の手続案内どの状態になれば担保を外せますか。完済前に一部を外す場合の条件はありますか。解除条件・必要書類・費用

「抵当権」と「根抵当権」を、名前だけで分かったことにしない

今回の登記資料には「抵当権」と「根抵当権」の両方が出てきます。抵当権は、不動産などを担保に、他の債権者に優先して弁済を受けるための権利です。根抵当権は、一定の範囲に属する不特定の債権を、決められた上限額である「極度額」まで担保する仕組みです。極度額は、そのまま現在の借入残高を表す数字ではありません。
e-Gov法令検索「民法」第369条・第398条の2

また、仮登記は「何の権利についての登記か」を見ます。仮登記に基づいて本登記をした場合、その順位は仮登記の順位によります。名前だけで軽い手続だと考えず、担保の種類・順位・対象を、契約書と合わせて確認したいところです。
e-Gov法令検索「不動産登記法」第4条・第105条・第106条

完済したことと、登記を抹消する手続が終わったことも分けて確認します。住宅金融支援機構の完済者向け案内でも、完済後に抵当権抹消の手続をする流れが示されています。この案件の過去の借入の完済日を、この案内や抹消記録から推定するものではありません。担保を外せる条件、必要な書類、誰が抹消を申請するかは、金融機関や司法書士などへ確認します。
住宅金融支援機構「完済された方・抵当権抹消手続」

次の打合せで聞くなら、この3つ

担保の種類を一度に理解しようとすると、確認することが多くなります。私なら、まず次の三つを紙に書いて聞きます。

① 今回の融資で担保に入る不動産を、土地・建物ごとに具体的に教えてください。

② 建築する土地・建物以外に担保が必要になる可能性はありますか。あるなら、いつ何を基準に決まりますか。

③ その担保は、いつ設定し、どの条件を満たせば解除・抹消できますか。

担保を確認する目的は、自分たちのどの不動産が、どのような条件で借入の担保になるのかを、契約前に具体的に知ることです。私なら、登記資料と融資資料を並べ、分からない箇所を担当者に示せるようにしておきます。

金利や融資条件がいつ決まるかは、「固定金利で借りたい。でも、その金利はいつ決まる?」で整理しています。工事中の支払日と入金日のずれは、「借りる予定のお金、支払日に間に合う?つなぎ融資で確かめたいこと」でまとめています。

この記事は、当時の連絡記録と、今回読み直した登記資料・つなぎ融資の予定表を匿名で要約しています。登記資料の記載を本人が当時すべて読み取っていたという意味ではありません。また、過去の抹消記録や予定表から、新しい融資の最終的な担保範囲・順位・解除条件を確定するものではありません。

公式情報の確認日:2026年9月17日。制度や商品についての説明と、私の個別契約の条件は分けて記載しています。個別の権利関係や解除・抹消の手続は、金融機関・司法書士・弁護士等へ、正式書類をもとに確認してください。

この記事を書いた人

つぐサクのアバター つぐサク 親の土地を継ぐ50代

親の土地や賃貸物件を引き継ぐ立場になり、土地活用・建築・融資・相続・賃貸経営を一つずつ学んでいます。最初は「何が分からないのか分からない」状態でした。専門家ではなく当事者として、一次資料と公式情報を確認し、迷ったことや後から分かったことも含めて記録しています。

目次