提案された家賃は何を根拠にしているか|募集と成約を分けて見る

募集と成約の資料を分け、提案された家賃の根拠を確認するイラスト

新築計画を進めていた頃、私は、提案された家賃を基準にして、部屋の条件による上乗せを担当者と相談しながら決めようと考えていました。

今、その頃の記録を読み直すと、上乗せを考える前に、基準となる家賃の根拠も確かめておきたいと思います。近隣で募集している家賃を参考にしたのか、それとも、実際に契約が決まった家賃をもとにしているのか。

親の土地や賃貸物件を引き継ぐ立場で収支計画を見るとき、家賃の数字は大切な前提になります。今回は私の相談記録と計画書を振り返りながら、提案された家賃について、次に何を聞けばよいかを整理します。

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家賃の上乗せを相談していた、当時の私

当時、私は建設会社へ、階や部屋の条件、設備などによって家賃に差をつけられるか、会社の実績を踏まえた意見を聞きたいと連絡していました。保存したやり取りには、その相談内容と、連絡したことを伝える私の言葉が残っています。

打合せの記録にも、階による家賃の違いを尋ねるやり取りがあります。担当者からは、その場で示されていた家賃は平均額で、階や角部屋などの条件によって差をつけている、という説明がありました。

ここで確認できるのは、相談をし、そうした説明を受けたことです。今回読み直した資料だけでは、比較に使った物件の一覧や成約事例、最終的に決めた各部屋の家賃までは確かめられていません。

平均の家賃が書かれているなら、各部屋にはどのように振り分けられているのか。すでに織り込まれている条件と、これから相談する上乗せはどこが違うのか。今なら、その内訳も一緒に聞きたいところです。

想定家賃・募集家賃・成約家賃を分けて読む

家賃の根拠を聞くときは、まず、その数字が何を表しているかをそろえたいと思います。この記事では、次の三つに分けて考えます。

  • 提案上の想定家賃:事業計画や収支の試算で、収入の前提として置いている家賃。
  • 募集家賃:入居者を募集する際に、広告などで示している家賃。
  • 成約家賃:実際に賃貸借契約が成立したときの家賃。

募集家賃は、どのような条件で入居者を募っているかを知る手掛かりです。ただ、掲載されている金額だけでは、その条件で契約が決まったかどうかは分かりません。掲載が終わったというだけで、同じ家賃で成約したとも判断できません。

一方、成約家賃と説明された数字も、新たな入居者との契約なのか、以前から住んでいる人の契約なのか、いつの事例なのかを聞いておきたいと思います。実際の契約例であっても、新築の自分の計画にそのまま当てはめられるとは限らないからです。

私なら、提案担当者や入居者募集を担う担当者へ、まず「この家賃は、募集事例と成約事例のどちらを参考にしていますか」と聞きます。成約事例が確認できない場合は、その点を残したうえで、何を根拠にした想定なのかを確かめます。

比較物件は、条件と調査した時点まで確かめたい

家賃の種類が分かると、次は、何と比べた数字なのかが気になります。同じ地域の物件でも、駅からの距離、部屋の広さや間取り、築年、設備、階や向きが違えば、家賃だけを並べても違いを読み取れません。

「近くの物件です」という説明から、もう一歩進んで、自分の計画とどこが似ていて、どこが違うのかを聞く。その違いを、提案家賃にどう反映したかまで分かると、相談しやすくなると思います。

国土交通省の不動産鑑定評価基準でも、賃貸事例を比べる際には、時点や地域・個別の条件などを考慮する仕組みが示されています。こうした考え方も、担当者へ質問する際の参考になります。国土交通省「不動産鑑定評価基準」第7章・新規賃料を求める鑑定評価の手法(PDF)

提案書を作った日だけでなく、比較した物件の募集や成約がいつのものかも確認したいところです。現在の事例を将来の完成時点の家賃に使っているなら、どのような見込みを加えているのかも聞きます。

部屋の条件による上乗せについても同じです。何を根拠に差をつけたのか、すでに提案額へ含まれているのかを分けて聞けば、同じ条件を重ねて家賃に上乗せすることも避けやすくなります。

家賃と共益費、募集の条件を分けて見る

保存していた事業計画書を今回読み直すと、家賃と共益費は別の欄に記載されていました。また、計画の数字はその時点の条件による試算で、将来変わる場合があるという注記もありました。

比較する資料が、家賃だけを示しているのか、共益費などを含む月額なのか。ここをそろえないと、金額の差が何によるものか分からなくなります。駐車場などの別料金も、必要に応じて分けておきたいところです。

国土交通省の「賃貸住宅標準契約書」でも、家賃と共益費は別々の記入欄になっています。これは契約書のひな形なので、自分の契約や提案での扱いは、手元の資料で確かめます。国土交通省「賃貸住宅標準契約書・家賃債務保証業者型」頭書(3)賃料等(PDF)

もう一つ、金額と一緒に聞きたいのが募集の条件です。礼金の有無や、フリーレントと呼ばれる一定期間の家賃免除などがあれば、その内容も確認します。免除の対象が家賃だけなのか、共益費も含むのかといった点も、数字とは分けて残しておきます。

こうした条件も含めて、実際にどのような契約が決まったのか。家賃の月額だけでは見えない部分を、担当者と確認するためです。

次の打合せで使う、家賃の根拠を確かめる表

私は今なら、提案書を見ながら、資料に書かれていることと、まだ聞けていないことを分けて整理します。全部の欄を埋めることより、次の打合せで何を誰に聞くかが分かることを大切にしたいと思います。

下の表は、読者が自分の資料を整理するための記入用です。私が実際に受けた回答の一覧ではありません。「資料にある内容」と「未確認の点」を書き込み、「根拠・比較条件」と最後の質問例を、自分の計画に合わせて使う形です。比較する事例ごとに分けると、条件を混ぜずに残せます。

スクロールできます
確認項目資料にある内容根拠・比較条件未確認の点確認先・次の質問
数字の種類記入:__想定・募集・成約の区別。平均額か、各部屋の額か記入:__提案担当者へ:何の数字ですか。募集と成約のどちらを根拠にしていますか。
資料と調査の時点記入:__資料名・版・作成日、事例の募集時点・成約時点記入:__査定担当者へ:いつの事例ですか。完成時点に向けて見込みを加えていますか。
立地記入:__比較する地域、駅からの距離、周辺環境記入:__募集担当者へ:この物件を比較対象にした理由は何ですか。
面積・間取り記入:__面積の種類・単位、間取り、使い方の違い記入:__査定担当者へ:面積と間取りの違いを、家賃にどう反映しましたか。
築年・建物の条件記入:__新築か既存物件か、築年、構造、改修状況記入:__査定担当者へ:自分の計画と異なる条件を、どう考慮していますか。
階・向き・設備と上乗せ記入:__階、角部屋、向き、設備。提案額へ反映済みの条件記入:__提案担当者へ:どの条件による差ですか。すでに平均額へ織り込み済みですか。
家賃以外の月額記入:__共益費・管理費、駐車場などの別料金と含有範囲記入:__提案・管理担当者へ:家賃だけの額ですか。毎月の別料金は何ですか。
募集・契約の条件記入:__礼金、家賃免除等の条件。新規契約か既存契約か記入:__募集担当者へ:募集時と成約時で、家賃や条件は変わりましたか。
根拠を確かめる資料記入:__比較物件表、査定の説明、匿名化された成約情報など記入:__提案担当者へ:確認できる根拠はどれですか。未確認の点は誰に聞けますか。

担当する人が分からなければ、まず提案書を出した担当者に、査定や募集を担当している人へ確認をつないでもらえるか聞くところからでよいと思います。事例は、他の入居者の名前や契約書そのものを求めず、個人情報を伏せた条件の説明で確認できる範囲を相談します。

提案家賃を、根拠と一緒に収支計画へ置く

提案家賃を収支計画に使うときは、「どの資料の、どの条件による想定か」を一緒に残しておきたいと思います。まだ成約の裏付けを確認できていないなら、その点も未確認として残します。

私の記録にある家賃の相談も、最終的な成約や、収入の実績を示すものではありません。相談をした記録と、その家賃で契約が決まったという裏付けは、分けて考えておきたいと思います。

家賃の根拠が少し見えてきたら、次はその収入と、建築費や他の費用をどう組み合わせているかが気になります。提案書全体の数字や条件を比べるときの確認方法は、「土地活用の提案書、どう比べる?私が今確かめたい14項目」にまとめています。

次の打合せで、私ならまず「この家賃の根拠になった事例を、条件と時点も含めて教えてもらえますか」と聞きます。その答えを聞いてから、まだ分からないことを一つずつ確かめていきたいと思っています。

公式資料の確認日:2026年9月17日。

この記事を書いた人

つぐサクのアバター つぐサク 親の土地を継ぐ50代

親の土地や賃貸物件を引き継ぐ立場になり、土地活用・建築・融資・相続・賃貸経営を一つずつ学んでいます。最初は「何が分からないのか分からない」状態でした。専門家ではなく当事者として、一次資料と公式情報を確認し、迷ったことや後から分かったことも含めて記録しています。

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